皆さん、ご入学おめでとうございます。
新型コロナウイルス感染拡大防止対策のために、規模を縮小した形ではありますけれども、こうして皆さんを無事お迎えできたことを、嬉しく思います。また、ご来学くださいました保護者の皆様に、感謝とお祝いを申し上げます。
本学は、戦後間もない昭和二十六年に開学し、以来七十年にわたって、一万四千名を超える卒業生を輩出してきました。先輩方は、地元のさまざまな場所で活躍しておられます。
本学の建学の精神は、仏教の教えに基づく教育です。仏教系の大学の多くが、いずれかの宗派に属しているのに対し、本学は、いずれの宗派にも属していません。自分と他者を大切に慈しむ「慈悲」と、支えあい協力し合う「和」の心を身につけ、「智慧」を学ぶ人間教育を通して、地域社会に貢献する有能な人材を育てること、これを建学の精神としています。入学ガイダンスを皮切りに、新学期の授業が始まりますが、「人間と仏教」の授業などを通して、建学の精神についても、これから深く学んでいくことになるでしょう。
さて皆さんは、このコロナ禍において、授業がオンラインになったり、学校行事や活動が制限されたりと、大変な思いをされてきたのではないでしょうか。
聖和学園短期大学は、一昨年(2020年度)、六月から対面授業の再開に踏みきりました。昨年度(2021年度)は、四月から原則対面で授業を行っています。もちろん、状況によって、授業を部分的にオンラインに切り替えたり、サークル活動に制限をかけざるを得なかったりした時期もありましたが、教育の根幹は、対面での学びにこそあるという理念を崩すことなく、教育活動を続けています。幸い本学では、学内感染やクラスターを引き起こすことなく推移しています。学生の皆さんや教職員が、細心の注意を払ってきたことによるものです。
それにしても、感染拡大防止には、引き続き気を配らなければなりません。もしかすると、今後も、活動を制限せざるを得ないことがあるかも知れませんが、皆さんの学びを止めないよう、また皆さんが精神的に孤立することのないように、精一杯配慮をしていきます。
詩人の長田弘は、「なくてはならないもの」という詩の中で、「平和とは(平凡きわまりない)一日のことだ」と記しています。コロナ禍のみならず、ここ数か月の世界情勢を思うと、「平凡きわまりない一日」を、大切に、丁寧に生きていくことの重要性をあらためて考えさせられます。無限の可能性を秘めた若い皆さんには、ぜひこれからの二年間の日一日を、大切に、丁寧に過ごしていただきたいと思います。
二年後には、卒業とともに「学位」が授与されますが、これは国際的に認められている資格「短期大学士」です。
これまで皆さんは「生徒」と呼ばれてきました。今日からは「学生」「短期大学生」と呼ばれ方が変わります。「学生」という呼び方は、自立した大人(おとな)に近づいたことを意味します。ともに学ぶ仲間はもちろん、皆さんを支えてくださる本学の先生方や職員、そしてご家族の皆さんに対して、敬意をもって接しましょう。そして、自分自身を見つめ、二年後に社会人として出発するための知識と技術を身につけていきましょう。
健康で充実した二年間になることを祈って、皆さんをお迎えする「式辞」といたします。
令和四年四月四日
聖和学園短期大学 学長 吉川 和夫