冬の長いみちのくにも、ようやく新しい春の足音が近づいてきました。
皆さん、ご卒業おめでとうございます。また学生生活を支えてくださいました保護者の皆さまに、お祝い申し上げます。
皆さんは今日、充実した短期大学生活を卒業し、一人のフレッシュな社会人として一歩を踏みだすことになります。いま、「充実した短期大学生活」と申しましたが、同時にそれは「新型コロナ感染症に振り回された二年間だった」と言えるでしょう。様々な活動が制限され、不便や不自由、困難を感じることも少なくなかったはずです。世界中すべての人々が直面した困難とはいえ、心おきなく学生生活を謳歌するといった二年間ではなかったことを残念に思います。

文部科学省の調査によれば、昨年四月から八月までの間に、新型コロナウィルスの影響を受けて、全国の大学、短期大学等を中途退学もしくは休学した学生は五千人を超えたそうです。そんな難しい時代にも関わらず、今日こうして「短期大学士」という学位、国際的に認められている学位を受けて卒業を迎えられることを、心より祝福したいと思います。

皆さんは、ここでさまざまな知識や技術を学ばれましたが、実際の社会では、自分の力の足りなさに直面して、呆然とする場面があるかも知れません。「学ぶこと」は二年間で終わりではなく、むしろここからがスタートです。これからは、目の前に現れる様々な疑問や課題を解決していかなければなりません。人と関わる仕事、とりわけ、小さな子どもたちと関わる仕事での課題は、書物やインターネットの中に答えが見つかるとは限りません。自分ひとりだけで悩み、孤立するのではなく、周囲の人たちに助言を求める謙虚さと積極性も必要です。時には、有効な情報や、さらなる知識、技術を身につける必要もあるでしょう。そんな時、これまでの学びは、自分の基礎となって役立っていることを実感する日が来ると確信しています。ここで出会った人たちは、これからも皆さんの力になってくれるはずですし、聖和学園短大は卒業したのちも、皆さんを応援します。建学の精神である「慈悲、和、智慧」は、卒業したら終わりではありません。これからも皆さんを護り、人間的成長を助けてくれます。
明日からは、皆さんと会う機会はもうあまりないかも知れません。どうか体だけは大切に、実際に会う機会はなくとも、「誰々さんは、こんなところで、こんなふうに、元気で頑張っています」という風の便りを聞くのを楽しみにしています。

あらためてご卒業おめでとう。どうぞ、聖和学園短期大学卒業を誇りに、自信を持って歩み始めてください。
以上、皆さんへの餞のことばといたします。

令和四年三月十八日
聖和学園短期大学 学長 吉川 和夫