創立70周年記念　吉川和夫学長　式辞

聖和学園短期大学　創立七十周年の記念式典を皆さんとともにお祝いしたいと思います。併せて、これまで本学の創設、発展に寄与された先達に対しまして、心より感謝と御礼を申し上げます。本日は、新型コロナウイルス感染症対策のために、簡素な形での記念式典開催となりました。ご来賓や関係各位をお招きすることが叶いませんでしたことを、お詫び申し上げますと同時に、共にこの喜びを分かち合いたいと思います。

昭和二十四年五月中旬、東北宗教大会が仙台市で開催された折に、佛教大学設立の件が満場一致で決議されたのですが、その背景には、昭和二十年八月十五日終戦の日以降、日本の社会が大きく変わったことへの危機感がありました。

昭和二十四年九月二十日の東北（聖和）女子大學設立趣意書に、次のように記されています。

「戦後四年を経た昭和二十四年には，戦禍を忘れるまでに回復したが、反面社会の実情を見ると文化国家平和日本を呼号、目標としているが、到底看過できないような道徳的低落が見られる。その原因として宗教的情操の枯渇、宗教的信念の衰退が原因であるとし、欠陥を矯正（正す）するためには宗教的信念の高揚とそれに基づく教育の充実が必要である。」

そして、昭和二十六年四月の開学以来、今年で創立七十周年という節目の年を迎えることができました。この七十年間の日本は、戦後の目覚ましい経済発展を経て、人口が急増しましたが、風水害や地震等によりたびたび大きな被害も受けてきました。現代は少子高齢化に伴って幼少人口が減少しています。さらにこの一年は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴い、経済活動はもとより、高等教育の在り方そのものが問われています。

これらの困難に対して、先達もそうであったように、地元、地域社会のご理解と、卒業生はじめ、学生・教職員が一体となった協働・協調により、「建学の精神」に基づいた聖和学園短期大学の発展のために、これまで以上に気を引き締め、励んでまいりたいと思います。皆さんの更なるご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。

七十周年記念事業のひとつとして、本学で長年にわたって所蔵してきました三点の文化財を、このたび仙台市に寄贈することにいたしました。

そのひとつが「利根姫婚礼調度品」です。利根姫（とねひめ）様は、徳川家から伊達家第六代当主「伊達宗村（だて むねむら）」に嫁がれた方で、二十四点の婚礼道具は文化財としての価値が非常に高いものです。後日、仙台市博物館で公開されることになっていますので、ぜひご覧になってください。本学ホームページ、「聖和短期大学七十年のあゆみ」に詳しく書かれていますので、そちらもぜひご参照ください。

以上をもちまして、創立七十周年記念式典のご挨拶とさせていただきます。

令和三年四月二十七日

聖和学園短期大学 学長　　吉川和夫

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